経営のヒント

―あたり前のわな(その1:業界)―

 あたり前という感覚が、知らず知らずのうちに革新・改善の芽や、円滑なコミュニケーションを阻んでいることがあります。この“あたり前のわな”について、場面ごとにお伝えします。

 

 今回は、業界の“当たり前のわな”についてお伝えします。

 それぞれの業界には、その業界ならではのルールや慣習が存在することが多いのではないでしょうか。例えば、仕入れや支払いの方法、販売の方法など様々なルールや慣習があるでしょう。

これらは、効率性や利便性、法的な規制など何らかの合理的な理由があってルールや慣習となったものがほとんどだと思います。しかし、これらが定着してしまうと、その合理的な理由はやがて忘れ去られ当たり前となります。

そして、合理的な理由がなくなっても、また、技術の進歩などで他の方法がより良かったとしても、誰も疑問に思わないまま継続されるということが起こってしまいます。

 

 この“当たり前のわな”に気づき、その点を革新することで成長力のある事業モデルへの転換につながることがあります。

 例えば、ダイエーはじめとするスーパーが、メーカーの反対や抵抗を押し切り安値で販売を始めたことで、それまで業界で「売値はメーカーが決めるもの」というあたり前が崩れていきました。現在では、定価という表現が希望小売価格といわれるようになるなど、業界の当たり前が変化しています。

また、ライフネット生命の創始者である出口治明氏は、それまで業界内でタブーとされていた生命保険の原価を開示しました。この開示した原価が、比較情報として顧客に提供されインターネット専業として営業していた同社の安さを示すこととなり、成長していきました。

これらは業界であたり前とされていたことを消費者目線で見直したことが、その事業を大きく成長させるきっかけとなっています。

 

このように、業界であたり前とされていることを疑うことで、ビジネスチャンスは生まれることもあります。

ビジネスチャンスを生むためには、まず、業界のビジネスの流れを理解したうえで、事業革新のタネとなるあたり前の問題点を見つける必要があります。

しかし、特に業界での経験が長い場合には、見つけるのが難しい場合があります。そんな時には、それが当たり前になった経緯や理由・目的を考えると分かり易いかもしれません。

そして、経緯や理由・目的を踏まえて、他業界の仕組みとの比較、顧客視点での検討、新しい技術の活用などを考えることで、他企業に先駆けて新しいビジネスの仕組みの創造につながる可能性があります。

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