経営のヒント

―マニュアルの使い方(その2:メリットとデメリット)―

(その1)でマニュアルには、メリットとデメリットがあることをお伝えしました。

今回は、メリットとデメリットの詳細についてお伝えします。

メリット

・教える時間や習得の時間が短縮できる

教える側は、マニュアルの流れに沿って説明することでスムーズに、もれなく教えることが出来ます。また、教わる側は、事前の予習や事後の確認などができるため、全体の流れや個々の作業内容の理解が促進されます。

そのため、レクチャーが効率化され時間が短縮できます。時間短縮によって教育にかけるコストも減少します。

・業務やサービスの個人差が縮小する

業務やサービスの基本的な流れをマニュアルに記載しておき、それを各人が習得すればだれが行っても一定の品質を保つことができます。

また、単純作業などの場合には、効率的な手順などを示すことで時間短縮などによるコスト削減の効果もあります。

・担当者の代わりに業務やサービスを別の人でも行える

何らかの事情で担当者がいなくなっても、スピードは遅くなるものの、マニュアルがあることで業務やサービスが全く止まってしまうということにはなりません。また、異動や退職などでの引き継ぎもスムーズにできます。さらに、知識や経験をもとに作成したマニュアルは組織の財産として「強み」の源泉にもなります。

・業務やサービスの内容を分析し改善できる

マニュアルを作成することで、業務やサービスの工程が「見える化」できます。見る人全員が工程などを客観的に確認できるため、問題点の発見や改善などにつながります。

デメリット

・指示待ち人間が増える

一旦やり方を覚えると、なにも考えずにそのやり方を行うことが習慣化していきます。習慣化すると、その状態が「楽」で普通になってしまい、言われたことだけをすれば良いという思考になりがちです。その結果、マニュアル通りにしか動けない、動かないという人が増える恐れがあります。

指示待ち人間になってしまうのは、「自ら考えて試行錯誤する」という仕事の楽しさが失われることによる、モチベーションの低下も一つの要因です。

・マニュアルが目的化する

業務やサービスなどは、企業としての目標や目的の達成のための手段です。そのため、個々の業務やサービスの行動には目的や意味があります。

しかし、マニュアルに書かれたことを確実に実行しようとするあまり、順守する姿勢が行き過ぎることがあります。この状況になると「書いてあるからその通りやらなければならない」などと創意工夫を否定する雰囲気が生まれ、目的や意味と関係なくマニュアルそのものが目的化してしまう恐れがあります。

・創意工夫や新しい発想の芽を摘んでしまう

上述の2点とも関連しますが、マニュアルが正しくそれ以外は悪いやり方という思いを持ってしまうことで、効率化の工夫や新しい発想でより良い仕事をしようという人材の意欲を削いでしまう恐れがあります。

このような組織風土になってしまうと、過去には必要であったけれども状況が変化して今は必要ないものでも改善されず、そのまま放置されてしまう恐れがあります。

マニュアルの導入には上述のように多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。そのため、(その1)でお伝えしたように、メリットをしっかりと発揮させ、デメリットを極力減らすように作成・運用時には留意する必要があります。

次回以降に、作成・運用時に留意すべきことについてお伝えします。

記事一覧

その他の「経営のヒント」

もっと見る