経営のヒント

―新事業の進め方(その2)―

スピード感をもって始め、走りながら考える新事業の進め方の主なポイントは以下のとおりです。

(1)「対象顧客」と「その顧客の求めるもの」の“仮説”を常に意識する

(2)小さく始める

(3)状況に合わせて変化する

(その1)では(1)「対象顧客」と「その顧客の求めるもの」の“仮説”を常に意識する、についてお伝えしました。

今回は、(2)小さく始める、についてお伝えします。

新事業には、当然リスクがあります。これまでは、市場調査や様々な状況を想定した計画の策定などによってリスクを低減させて、事業を始めるのが一般的でした。しかし、(はじめに)でお伝えしたとおり、時間をかけた検討や準備のメリットが、以前と比較して薄れています。そのため、すぐには軌道に乗らないことや撤退することも視野に入れ、投資(費用や時間など)を抑えることでリスクを限定的にする“小さく始める”ことが重要になってきています。

小さく始めることで生まれるメリットは次のようなものがあります。

一つ目は、一歩を踏み出すハードルが低いことです。リスクが限定されているため、失敗しても企業が存続の危機に陥ることはありません。ある意味気軽に始めることが出来ます。

二つ目は、軌道修正や撤退の意思決定が比較的適切に行えることです。「投資が大きいため後に引けない」とはならず、状況だけに着目した冷静・迅速な判断が行いやすくなります。また、新たな投資が必要になった場合でも、当初の投資を低く抑えているため、二の矢、三の矢を放つこともできます。さらに、最終的に撤退の判断をした場合でも損失は限定的です。

三つめは、顧客の生の情報が収集できることです。顧客の情報は事前に収集することもできますが、やはり、実際にお金を出して購入する顧客の声とは異なります。また、顧客の購入までのプロセスなどを観察することで、購入に至るキーポイントなどの発見にもつながります。さらに、関連する事業のアイデアにつながる知見が得られることも考えられます。

では、小さく始めるための方法はどのようなものがあるでしょうか。

業種や業態、個々の企業の持つ経営資源によって様々なケースが考えられます。一般的な例をいくつか挙げると、試作品や小ロットでの生産委託、クラウドファンディング、ネットショップでの販売など、外部の企業や既存の仕組みの活用が挙げられます。この他にも飲食店であれば、ヤドカリ型店舗やゴーストキッチンなど、業種や業態によって小さく始める方法はたくさんあると思います。

飲食店や百貨店などが関係者を対象にプレオープンをすることがあります。これも、「小さく始める」の一例です。宣伝効果など他のねらいもありますが、実際に事業として運営して問題点などを把握・修正することで、グランドオープン時点での質の高い運営を提供することが目的です。この範囲を限定する考え方で、地域や周知する顧客層などを絞って小さく始めるのも一つの方法です。

このように、スピード感をもって始め、走りながら考えることができるようにするためには、リスクを限定的にできる“小さく始める”ことが重要です。

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